『引きこもり狩り』(芹沢俊介・編)という本が出た。『引きこもり狩り』とは、すさまじいタイトルだが、それが事実であるだけに、空恐ろしい。
長田塾やアイ・メンタルスクールなど、ひきこもる若者たちをムリに引き出そうとする業者が、その違法な手法ゆえに事件を引き起こした。両者とも、ひきこもる若者たちを保護者の「同意」のもと拉致・監禁し、後者では昨年4月に死亡事件まで引き起こした。そして、両者とも裁判に訴えられ、昨年12月に判決が下された。同書は、この二つの事件の経過をていねいに分析し、引き出すことの問題を徹底的に剔りだしている。

アイ・メンタルスクール事件はマスコミでも大きく取り上げられたが、長田塾裁判については、あれほど大きくマスコミで持ち上げられている団体の違法性が問われたにもかかわらず、ごくわずかしか取り上げられなかった。アイ・メンタルスクール事件への批判も、「支援」する側の「善意」が強調され、引き出すことを必要悪とする論調が多かった。
それに対し、編著者の芹沢俊介は、「善意の道は地獄へ通ずる」と言い切り、引き出す思想を否定する。そして、支援とは、支援する側の善意を押しつけるものであってはならず、支援される側を主体に、その必要性を軸になされなければならない、と語る。
芹沢は、長田塾やアイメンタルスクール事件を、対岸の火事として批判することを許さない。「善意の道は地獄へ通ずる」。これは、私たちにも鋭く突きつけられる問いだ。こういう問いに鈍感な人は、「いいことをしている」と思いこんでいるだけに、すべからく危ないと、問いかけている。
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コムニタス・フォロでは、同書の共著者のうち、芹沢俊介氏と高岡健氏を招いて、2月12日に大阪市内で対談集会を開く。『引きこもり狩り』も会場で販売するので、ぜひ、ご参加いただきたい。