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先日、フリージャーナリストの西谷文和さんにお越しいただき、イラクの現実について、映像とともにお話しいただいた。

クラスター爆弾の不発弾をさわって、身体中に破片を浴びた少年、片足が吹き飛んだ少年、劣化ウラン弾の影響と思われる腫瘍のできた子どもたち、薬不足のために治療を受けられずに死んでいく子どもたち……。戦争は戦闘のみではない。戦闘が終わったあとも、いつまでも影響は続き、人々を苦しめている。

映像とともに突きつけられた現実は、あまりに凄絶で、簡単には整理できない。どこかで、よその国の話として、眼を背けたくなる自分がいる。たぶんそれは、暴力がどこまでも不条理で、被害者が被害に遭わなければいけない理由が微塵もないからだ。
そして、この不条理な暴力によって、利益を得ている人たちがいる。日本だって、直接的ではないかもしれないが、その利益のおこぼれにはあずかっている。だからよけいに、“不都合な真実”は直視したくない。そして、死者の人数や、爆発の映像や、わかったような解説で、私たちは麻痺してしまう。

西谷さんは、吹田市の職員という安定した立場を捨て、フリーのジャーナリストとして活動している。治安の悪化する一方のイラクに何度も訪れ、取材活動のかたわら、医薬品を届けるなど支援活動をしている。「家族もいるのに、なぜそこまで?」とたずねると、「実際の現実を目の当たりにして、被害に遭っている人たちと関わったからだと思う」と答えられた。

「目を見はるんだ。すべては隠されている」と言ったのは、ボブ・ディランだったと思うが、膨大な情報のなかで、私たちの現実感覚は、どこかおかしくなっている。麻痺しちゃいけない、とあらためて思った。