hori.JPGシリーズ仕事人として、お坊さんに来ていただいた。といっても、かなり風変わりなというか、ええ加減なというか、気さくな坊さんである。
堀蓮慈さんは、25歳のときにワーキングホリデーでオーストラリアに渡った。そのとき、それまで背負ってきたものから解放されて、ひとりの人間として生きている実感があったという。帰国後も、ただマジメに働く気はせず、予備校の講師をしたり、自宅で塾などを開いていたが、83年からフリースクール研究会を開く。以後、フリースクール運動にずっと関わってきた。堀さんのなかでは、学校という世俗から離れたフリースクールも、世俗社会から離れた仏教の世界も、ある意味では同じ世界だ。

得度したのは8年前。人生、快楽を追求しても、はかないと感じ、仏教青年会に通いはじめ、その縁から得度した。しかし、日本ではあまり仕事はしていない。世俗を捨てると同時に、日本にも見切りをつけているようで、来月からオーストラリアに渡って布教活動をするそうだ。堀さんは、「国民意識なんていうのは近代以降につくられた底の浅いものでしかない。私の籍は浄土にある」と語る。

話は、かなり宗教のディープな部分にもおよび、なかなかおもしろかった。が、何よりの耳より情報は、坊さんへの就職情報だった。仏教系の専修学校に1年通えば坊さんになることはできて、うまくすれば1日4~5時間働いて月収20万得られるそうだ。ただ、古い社会でもあるので、人間関係やコネがものをいうので、そのあたりは縁次第、とのこと。
それと、日本だけが世界ではない。海外に出てみると、自分が縛られているものが見えてくる、という話もおもしろかった。たしかに、ほかの文化に触れないと、自分が空気のようにあたりまえにしている文化は見えてこない。

いざとなれば坊主になる。そう思っているだけでも、ラクに生きられる気がする。いまの社会は、たぶん経済的な世俗価値観で一元化されてしまっていて、それが息苦しいのだと思う。堀さんみたいな、ええ加減なオヤジがひょうひょうと生きているというのは、なんだか楽しい。堀さんは浄土真宗の真宗大谷派だが、大谷派のいいところは、ええ加減なところだと語っていた。ゆるく世俗からズレて生きる。そういうふうに生きていけたらなと思った。