トンデモ条例を起草した人は、発達障害について無知なだけではなく、ここに列挙された不登校、ひきこもり、虐待、非行などについても、まじめに考えたことはないだろう。つまりは、ムカツキを吐き出すための異物としての記号でしかないのだ。だから、それぞれの文脈に即してみればトンデモな暴論が、堂々と述べられている。当事者や直接関わりのある立場から、その乱暴さをきちんと批判しておく必要はあるだろう。正直、話が通じる相手には思えないので、疲れる作業にはちがいないけれども……。
 
ただ、誤解を恐れずに言えば、このムカツキそのものは、共有してしまってよいと思う。過去を幻想的に美化するのはまちがいだが、条例案を否定したいがために、現状を肯定する(昔より今のほうがマシ)という図式では、たとえ条例案を引っ込めさせても、出た頭を叩いたことにしかならないだろう。
 
第一、「親学」だとか言っているのは、維新の会単独ではない。国会議員超党派の議員連盟(安倍晋三会長)がこの4月に発足し、“「親学」を推進する法律の年内制定を目指し、政府に推進本部を設置することや、地方自治体での条例制定、国民運動の推進”をうたっている。トンデモ条例などと笑っていられない状況だ。
 
ハシズムを支えているのも、現状へのムカツキだろう。ハシズムを嘲笑しても、勢いは止まらない。ムカツキの根に届く言葉が、しかも安易な幻想ではない言葉が必要だ。