和歌山・熊野に行ってきた。田辺市の山奥で古民家を開放している共生舎、木材の伐採現場、炭焼き小屋、有機農法で自給自足を実践している共育学舎など、あちこち行かせていただいた。案内してくださったのは佐藤洋一さん。佐藤さんは、元東京シューレのスタッフで、10年以上前、半年ほどだったか、私もいっしょに仕事をしていたことがある。その後、佐藤さんはIターンで熊野で林業に携わるようになり、いまは炭焼き修行のかたわら、子どもの遊び場を主宰している。ガタイの大きい佐藤さんだが、炭焼きの仕事は命がけのようだ。原木の伐採は、ひとつまちがえばプロ中のプロでも命を落とす。炭を焼くのは釜の中に入り込んでの作業で、ものすごい重労働だ。炭の遠赤外線で、身体の内側まで熱くなるという。
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それでも仕事を続けているのは、きっと“自然”の手触りみたいなものに感じ入るものがあるからなのではないか。そんなふうに感じた。たとえば木材の伐採現場は、斜面をガバッと伐採していて、素人目には破壊でしかない。しかし、田んぼと同じように、また樹を植えて、自然のサイクルを読みとりながら、循環させていく営みでもある。森の営みはとても複雑で、単純に樹を植えればいいというものではないようだ。あるいは炭焼きにしても、備長炭は原木の15%ほどに縮むそうで、何か鉱石から金属を精錬する作業にも似ているように思えた(ちなみに備長炭は金属音がする)。自然の表面をなでるのではなくて、踏み込むがゆえに感じる手触り……。それは、きっと子どもと関わることにも通じるものがあるように思う。
 
佐藤さんは、自分の直観を大事にしながら、なんとか、そのへんをつないで活動をしようとしているのではないかと思う。まあ、これは勝手な私の感想なので、トンチンカンなようだったら、佐藤さん、おしかりください。 (つづく)