新緑の気持ちよい、さわやかな陽射しのなか、住吉大社に狛犬めぐりに行った。案内していただいたのは、先だって、「狛犬から世界が見える」と題して、お話しに来ていただいたマキさん。住吉大社は、大阪の狛犬のメッカだという。事実、住吉大社には11対もの狛犬がおり、しかも、年代も素材も意匠もまちまち。じつにさまざまな狛犬がいた。

komainu01.JPG戦中につくられたものは、国威発揚のためか、異様に鳩胸でマッチョ志向だったりするが、江戸時代につくられたものなどは、なよっとしていて、とってもかわいい。狛犬によっては劣化も激しく、なかにはアゴが落ちてしまっているものもいたり、コンクリで雑に修復されていたりした。あまり重要視されていない所以だろう。ただ、一方では、ちゃんと手作りの前かけをしてもらっていたりしていて、民衆には愛されていることがよくわかる。また、よく見ると、足にひもが結ばれていたりした。マキさんに聞くと、縁が切れないようにするためのおまじないらしく、神社の人たちも、取るに取れないらしい。なかには針金でしっかり結ばれているものもあり、その情念には、ちょっとたじろいでしまった。

komainu03.JPG結局、たっぷり2時間かけて、狛犬をめぐらせていただいた。それは、とっても心地のよい時間だった。神社のところどころに、じつに控えめに、立ち続けている狛犬たち。それはちょっと、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ……」を思い起こさせるものがあった。
ひととおり、めぐり終えたあと、近くの喫茶「タンポポ」でコーヒーをいただいた。開いているのかどうかさえわからない店のたたずまい。店に入ると、マスターが驚いたように出迎えてくれた。36年前から営業しているが、「ここ20年は開けているだけ」だという。でも、コーヒーは、わりとおいしかった。ここでも、ゆったりとした時間を過ごさせていただいた。最後まで、狛犬的な時間だった。