このたび、『名前のない生きづらさ』という本を出しました。なるにわに参加している野田彩花と、コーディネーターの山下耕平さんとの共著です。刊行にあたっての思いを少しばかり。
私たちはこの社会を生きるうえで、さまざまな名づけに出会います。
性別、名前、身分、役職……。ときに肩書きが個人を覆い隠してしまうこともあります。
9歳で学校に行かなくなり、その後ひきこもり状態を過ごしたことで、肩書きや名づけからはぐれたはずの私にも、不登校やニートといった名づけが追いかけてきました。
まるで分断線をひくように、ひっきりなしに登場する名づけにふりまわされて、いったいどこに「ほんとうの私」がいるのか、そもそも「ほんとうの私」など存在するのか、わからなくなるほどです。
そこで、「いま、ここにいる私」をどのような名づけにも明け渡すことなく、こころを開いて見つめることで、名前をつけたそばからこぼれ落ちてしまう感情や葛藤(たとえば、生きづらさなど)をひとひらずつ言葉でつむいで、私のパートを書きました。
共著者の山下耕平さんは、不登校やひきこもりといった名づけがどのように登場し、どのように移り変わっていったのかを、ていねいに分析しておられます。