フォロでは、時間割のようなものをほとんど作っていません。スタッフから「こんなこともできるよ」とか、「この時間はテレビゲーム以外の過ごし方を探そう」とか言うことはありますが、「今はあなたはこれをしましょう」と言うことはありません。

 「今、この子にはこれをさせておかないと」という大人の不安が「時間割」となって学校などの教育機関に現れますが、それに従順になればなるほど、子どもは今、自分が望んでいることは何なのか、それをするためには何が必要か、したくてもできない場合があるのはなぜなのか、今できるベストは何か、自分で考える機会と経験を失っていきます。

 私達は子どもに、言われたことはできるけれど、自分で見つけて実現することはできない、そんな人になってほしいのでしょうか。

 私たちは今、先の見えない時代を生きています。
 子ども達が今後、大人になって、人生の岐路に立つとき、おそらく、私たちは側にいて、一緒に考えてあげることはできないでしょう。
 私達がまだ生きていたとしても、もうその時、私たちにはわからないでしょう。今、私たち親の世代が、今後の生き方について、私たちの親の世代に相談しようと思わないのと同じように。

 自分で見つけて、自分でやって行く。その結果に、自分で納得する。

 幸せは形ではなく、人それぞれに自分で感じることですから、それを、自分で見つける力を得てほしいと思いながら、日々子ども達と過ごしています。

湯上 俊男